茨木市の保育所等訪問支援のご案内

私たちは、子ども・保護者・先生の“間”に立ち、子どもの行動の背景を読み解く専門家です。
子どもの行動のひとつひとつに、理由があり、それを紐解くことで受け取り方や理解が変わってきます。

えんりっちに在籍する作業療法士が、お子さまが通う園・学校へ直接訪問する保育所等訪問支援。
子どもの行動を理解することで、支援が広がり、先生の想いがもっと伝わるように。
保護者様も先生も”やってみたくなる”作業療法の視点に基づく解決方法を通して、お子さまの生活環境を整えるお手伝いをします。

  • 集団行動が苦手で、授業や保育活動に参加できないことがある
  • お友達関係が広がりにくく心配
  • 落ち着きがなく、授業や活動に集中できているか心配
  • 自分の気持ちをうまく言葉にできず、かんしゃくを起こしてしまうことがある
  • 園や学校での様子がわからず、先生にどう相談していいか悩む
  • 療育を勧められたけど、通所にはためらいがある
    (送迎の時間が作れない、新しい環境にお子さまが馴染めるか心配など)

当てはまったもの、ご不安なことがあれば、ぜひえんりっちにご相談ください。

「保育所等訪問支援って、名前は聞いたことあるけど、具体的に何をしてくれるの?」そんな疑問にお答えします。保育所等訪問支援とは、ひとことで言うと「発達支援の専門家が、お子さまが普段通っている園・学校に『訪問』して、集団生活でのお困りごとを解決するお手伝いをしてくれるサービス」です。

  1. お子さまの様子の観察
    まずは、普段過ごしている教室や園舎などの環境面や、お子さまの行動(集団活動や身辺自立、お友達との関りなど)をそっと観察します。
  2. 先生との「作戦会議」
    観察して分かったことを基に、担任の先生と直接お話をします。お子さまの行動の背景を読み解きつつ、伝わりやすい声掛けの方法など、すぐに実践できる具体的なアドバイスを共有します。先生方の”どうしよう”を一緒に考えるよき相談相手を目指します。
  3. 環境の調整
    お子さま自身に変わることを求めるのではなく、道具の置き場所を変えたり、活動の手順を絵で示したりすることで、お子さまがグッと活動しやすくなる環境を整えます。

お子さまのために、できる限りのことをしてあげたい。私たちは、そんな保護者の方の深い愛情と日々の子育てを、心から応援したいと願っています。

保育所等訪問支援は、その大切な想いを、子育ての確かな手応えと子どもの成長につなげていくお手伝いです。

 療育の本来の目的はお子さまの自立した社会生活です。私たちは、お子さまが長く過ごす園や学校に直接訪問し、実際の生活の中で安心感や達成感をもって過ごせるよう支援します。訪問支援では送迎がないため、療育への通所が難しい場合にも利用が可能です。お子さまの安心できる「日常」の中に専門家がお伺いすることで、無理なく成長の土台を育みます。

専門家が間に入ることで、保護者の方の想いを整理し、先生方にも伝わりやすい言葉で共有するお手伝いをします。それは、単なる「相談」ではなく、お子さまを真ん中に、保護者と園・学校が同じ目標を持つ「心強い子育てチーム」になるための第一歩です。

私たちが園での客観的な姿をご報告することで、ご家庭での姿と合わさり、お子さまの持つ豊かな個性や可能性がより立体的に見えてきます。お子さまへの理解が深まることは、日々の関わり方をより楽しく、自信に満ちたものに変えてくれます。

 日々大勢の子どもたち一人ひとりと向き合い、その成長のために奮闘されている先生方を支えられる「伴走者」でありたいと、私たちは考えています。

私たちの訪問支援は、先生の実践を評価したり、新しい手法を一方的に指導したりするものではありません。

先生がお持ちの素晴らしい教育観や子どもたちへの想いを、よりスムーズに実現するためのお手伝いをいたします。

1. 先生の「なぜだろう?」に、専門的な視点で応えます。

たとえば、すぐに立ち歩いてしまう子ども。私たちは「座っていられない」という課題として捉えるだけでなく、「それでも最初の10秒間は、みんなと一緒に座ろうと頑張っている」という姿に注目し、その子の「座っていたい」という気持ちを、どうすればもう少し長く支えてあげられるかを一緒に考えます。

一見すると困った行動の裏にある、子どもなりの理由や健気な頑張りを一緒に見つけ出し、先生の「子どもを伸ばす力」を、作業療法士の専門的な視点から後押しします。

2.クラス運営の「作戦会議」に、根拠のある視点をプラスします。

「この子の良さを、どうすればクラス活動でもっと活かせるだろう?」そんな時、気軽に相談できる専門家として私たちをご活用ください。私たちは、先生が目指すクラス作りや行事の成功に向けて、作業療法士の知見に基づいた環境整備や関わり方の工夫を一緒に考えます。

「なぜこの方法が有効なのか」という根拠が加わることで、先生の実践を納得感で後押しします。

3. 専門的なサポートが、クラス全体の「良い循環」へと繋がります。

特定の子どもへの関わりに、より多くの時間や配慮が必要となるのは自然なことです。しかし、それが先生ご自身の大きなエネルギーを要することも事実です。

私たちが専門的なサポートに入ることで、一人の子どもへの関わりがよりスムーズになり、クラスの円滑な運営にもつなげていけます。

先生のエネルギーがクラス全体にいきわたることで、すべての子どもたちが安心して過ごせる「良い循環」が生まれる。私たちはそう信じています。

茨木市では、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの通所支援を利用していなくても、保育所等訪問支援を単独で利用することが可能です。
「療育を勧められたけど、仕事との両立が難しい」「まずは今の環境での支援から始めたい」といったご家庭も、お子さまが毎日通う園や学校での支援から、安心してスタートできます。

また、すでに療育を利用されているご家庭でも「園での困りごとをもっと具体的に解決したい」という場合に、保育所等訪問支援を組み合わせることで、より柔軟な支援を受けることができます。

支援の受け方は一つではありません。通所のみ、訪問のみ、両方の組み合わせなど、ご家庭の生活状況やお子さまのニーズに合わせて、最適な支援の形を選択していただけます。すべてのご家庭が無理なく必要な支援を選択できるよう、ご相談させていただきます。

利用に向けた手続きについても丁寧にご説明いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

保育所等訪問支援は、お子さま、保護者様、そして園・学校の先生方という、大切な関係の中にお邪魔する、とてもデリケートなサービスです。効果的な支援のためには園・学校、保護者、事業所の連携が必要となります。

だからこそえんりっちは、お子さまに関わるすべての人が笑顔になれるよう、以下の3つを大切にしています。

私たちは、利益のためだけにサービスを提供することはありません。
作業療法士としての理念と、「活動分析」や「PEOモデル」といった専門的視点に基づき、お子さま一人ひとりの未来のために、中身の濃い、質の高い支援を提供します。

私たちは、専門家として上から目線で指導するようなことは決してありません。
日々子どもたちと向き合う先生方の頼れるパートナーとなり、その実践を専門的知見で後押しする「伴走者」として、信頼関係を第一に考えます。

作業療法士としての専門知識を活かし、先生方の子どもたちへの想い、子ども達の隠れた想いを双方に届け合う「サポーター」として、本音で語り合える存在を目指します。て、何でも本音で話せる存在を目指します。

「楽しそうでした」といった曖昧な報告はいたしません。
子ども、先生、保護者様の橋渡しをする存在として、訪問時に「何を見て」「何を考え」「先生と何を話し合ったか」を具体的に記録し、保護者の方にご報告します。
ご希望があれば、その内容を他の支援機関と共有し、チーム全体でお子さまを支える体制を築きます。

STEP
ご相談・支援の方向性の確認(状況の把握)

まずはお気軽にご相談ください。専門スタッフが園や学校へ伺い、お子さまの様子を拝見します。保護者様、先生方と話し合い、最適な支援の方向性を一緒に探ります。

STEP
ご利用に向けたお手続き

受給者証の申請や園からの同意書の取得など、ご利用に必要な手続きを進めます。契約後、お子さま一人ひとりに合わせた具体的な個別支援計画を作成します。

STEP
訪問支援の実施(1~4ヶ月目)

計画に基づき、専門スタッフが月1〜2回訪問します。お子さまの様子を見守り、先生方と連携。保護者様へも丁寧に状況を報告し、一体となって成長をサポートします。

STEP
モニタリングと計画の見直し(5ヶ月目以降)

定期的に支援の効果を振り返ります。お子さまの成長や状況の変化に合わせ、保護者様、先生方と一緒に今後の目標や支援内容を話し合い、計画を更新します。

詳しい流れはこちらのページをご参照ください。

福祉サービスのため、ご利用料金の1割が自己負担となります。 このサービスの利用料は、児童発達支援や放課後等デイサービスなど、他の福祉サービスのご利用料と合算されます。 合算した自己負担額が、ご家庭の所得に応じて定められた「負担上限月額」を超えることはありませんので、複数のサービスを安心してご利用いただけます。

具体的な金額についてはお住まいの自治体にお問い合わせください。

※茨木市以外の市町村に伺う際には交通費を実費で請求する場合がございますので、ご了承ください。

保育所等訪問支援にはどんな資格を持った人が来ますか?

お子さまの発達支援や環境調整の専門家である、国家資格である作業療法士が中心となって訪問します。
お子さま一人ひとりの特性と、集団生活の環境の両方を深く理解し、専門的な視点からサポートを提供します。

保育所や学校への訪問の頻度はどれくらいですか?

基本は月に1回の訪問となります。ただし、お子さまの状況や園・学校のご要望に応じて、頻度を調整することも可能ですので、お気軽にご相談ください。

うちの子が通っている園(学校)でも利用できますか?

はい、ご利用いただけます。
保育所、幼稚園、認定こども園、小学校、学童など、お子さまが通う施設(園・学校)からの同意があれば、どちらの施設でもご利用いただけます。
主な訪問エリアは茨木市ですが、その他の地域(高槻市・吹田市・摂津市)についてもご相談ください。

療育(通所支援)との併用は可能ですか?

はい、可能です。
児童発達支援や放課後等デイサービスなど、他の福祉サービスと組み合わせてご利用いただけます。また、保育所等訪問支援を単独で利用することもできます。
ご利用料金は他のサービスと合算され、世帯所得に応じた上限額が適用されるため、ご安心ください。

保育所等訪問支援は、申し込むとすぐに利用できますか?

いいえ、すぐのご利用開始はできません。
当サービスは公的な福祉サービスのため、ご利用にはお住まいの自治体が発行する「受給者証」が必要です。ご相談から、園・学校との調整、受給者証の申請・発行、ご契約を経てからの開始となり、通常1〜2ヶ月程度かかります。

相談した内容や子どもの情報が、外部に漏れることはありませんか?

はい、ご安心ください。
私たちは児童福祉法に基づく事業者として、厳しい守秘義務を遵守しています。保護者の方の許可なく、ご相談内容やお子さまの個人情報が外部に漏れることは一切ありません。

交通費はいくらぐらいかかりますか?

訪問先に公共交通機関で伺う場合には事業所からの往復の実費を頂戴します。
車で伺う場合には往復のガソリン代と駐車場代(停めた場合)を頂戴いたします。交通経路については契約時に打ち合わせを行い、了解を得た上で実施いたします。

通所での療育支援とは何が異なるのですか?

保育所等訪問支援も通所(児童発達支援や放課後等デイサービス)での支援も同様にお子さまの発達支援と社会参加の促進、ご家族への相談支援等を目的としています。
保育所等訪問では実際の生活場面での支援を行うことから、集団生活場面での適応能力が向上したり、集団の中での居場所作りや所属感の向上などが図られます。

通所での支援では個別のニーズに合わせた集中的な療育により基礎能力(認知や言語、運動能力など)の向上が図られ、将来的な適応能力の基盤づくりに効果的です。

どちらかの支援が優れているわけではなく、必要性に応じて選択したり、または組み合わせて利用することでお子さまの健やかな成長や安心できる生活につながります。

H25年3月京都大学医学部保健学科作業療法学専攻卒
H25年4月~医療法人家森クリニックに作業療法士として勤務
H27年6月~
R3年3月
亀岡市教育委員会管轄療育事業「ほっかほか教室」に専門家として派遣
R2年1月~
R3年12月
京都府作業療法士会 地域貢献局 事業推進部 特別支援教育OTチーム委員長として従事

作業療法士として医療の現場にいた頃、専門的な分析が子どもたちの生活の場である園や学校に届きにくい、というもどかしさを感じていました。

転機となったのは、ある先生との出会いです。私たちの専門的な視点と、先生方が持つ豊富な実践経験が組み合わさった時、子どもたちの驚くような変化を目の当たりにしました。

その先生との出会いから、私たちの役割は一方的にアドバイスすることではなく、先生方の「作戦会議のパートナー」として、その子の特性に合った関わり方を一緒に見つけることだと確信しています。

私たちは、お子さま自身に「変わること」を求めるのではなく、その子の特性に合った環境を整えることで、本来の力を引き出すお手伝いをします。

子どもが安心して過ごせるようになると、先生方は保育や教育のやりがいをより深く感じ、保護者の方は笑顔で我が子を送り出せるようになる。この「三方よし」の好循環を、関わるすべての人と一緒に作っていくことが、私たちの何よりの願いです。